東電、脱国有化へ再建遅れ懸念 裁判長期化必至、計画の先行き不透明
東京電力の元トップらに対する29日の強制起訴で、東電の脱国有化に向けた再建計画に狂いが生じる恐れが出てきた。計画の進捗(しんちょく)について最初の点検が行われる来春には東電への国の関与が弱まり、経営の自由度が高まる見込みもあった。だが、裁判の長期化は必至とみられ、原発再稼働を前提とする計画の先行きに不透明感が漂ってきた。
柏崎刈羽原発(新潟県)では現在、再稼働に向けた新規制基準による審査が終盤にさしかかり、年内に審査結果が出る可能性が高い。その後、再稼働に必要な地元の同意手続きに入る見通しだが、裁判を係争中に県内議論が活発化するかどうかは不透明だ。
さらに4選出馬を表明した泉田裕彦知事はいまなお「福島事故の検証と総括」を求めて再稼働議論を封印。長い裁判を検証と総括の一環とみなして4選を果たせば審査に合格しても地元の同意手続きは遠のく。経営の安定化に不可欠な低コスト電源である原発の再稼働が見通せないと2016年度中を目指す6年ぶりの社債発行もおぼつかない。
東電は4月に大手電力初の持ち株会社制に移行する。発電、送配電、小売りなど各事業を分社し、経営の機動性と効率性を高めるのが狙い。だが、原発再稼働の遅れなどで実効性は限定的になる可能性もある。
1兆円を出資して東電を実質国有化した政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、来年3月末に1回目の経営評価を行う。評価で東電の再建が軌道に乗ったと判断すれば、現在50%超の議決権比率の引き下げなどが決まる見通しだ。自主経営を早期に取り戻したい東電は初回で高評価を得たいが、取り巻く環境は厳しさを増している。
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