バングラ進出企業、出張自粛 自宅待機を指示 他国でも注意喚起

 
飲食店襲撃テロの追悼集会で、ハシナ首相(右)と言葉を交わす渡辺正人駐バングラデシュ大使=4日、ダッカ(共同)

 バングラデシュの首都ダッカで起きた飲食店襲撃テロ事件を受けて、現地に進出する日本企業が、現地社員の自宅待機指示や同国への出張規制など、安全対策に乗り出した。さらにバングラデシュだけでなく、各国でも、テロに巻き込まれないよう注意喚起も進めている。

 ダッカに9店舗と生産委託工場の管理事務所を置くファーストリテイリング、現地企業にスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロスポーツ」を生産委託する三菱自動車は4日それぞれ、バングラデシュへの不要不急の出張を控えるように指示を出した。清水建設は現地の駐在社員17人に対し、当面は自宅で待機するように指示。日本通運は現地法人に出向中の社員に対し、毎朝出社時に東京の本社と地域統括拠点に安否確認の連絡を徹底するよう伝えたという。味の素やホンダは「状況を注視する」とし、現時点では出張規制などは設定していないが、事態の変化によっては追加の措置を検討している。

 今回のテロを契機に、海外での安全対策を改めて徹底する動きも出ている。

 東レは「テロ巻き添え防止策」を確認するように全社員に指示。イントラネット上で確認でき、テロ対象となりやすい警察署などには長居しないことなどの注意事項が盛り込まれている。貧困層を対象にした「BOPビジネス」を支援する経済産業省は、世界でテロが頻発しているため、「各国の状況も分析した上で、支援態勢のあり方を検討」(通商金融・経済協力課)する。また、テロが発生した都市の空港は乗り換えでも使わないなどの措置を徹底するメーカーも増えているという。

 経済同友会の小林喜光代表幹事は4日の会見で、テロに対する企業の取り組みは「永年の課題」としたうえで、外務省の情報を的確に伝えるほか、「イスラム系が多い国では、外国人が集まるところを避けるなどの細かいことをマニュアル化するなどの対応策しかない」と、不断の対策が重要だと語った。