識者や有名人のレビューは新聞・雑誌などに相次いで掲載されているが、そうではない人々のレビューに大量に接することができるのが、ネットが読書にもたらした大きな変化だ。多崎つくるは物語の大半において孤独だが、それに共鳴する読者は、ネット上に共鳴の広がりを見ることができる。そして孤独は、発売日の行列の人混みにも紛れ込んでいるだろう。(光)
【用語解説】「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
村上春樹さん(64)による「1Q84 BOOK3」以来3年ぶりとなる新作長編小説。発行部数は18日に100万部に達した。文芸春秋は2月16日に刊行を発表し、3月15日にタイトルと村上さんの「『1Q84』とは少し違うものを書いてみたかった」という主旨のメッセージを発表。12日の発売日まで内容は一切公表されなかった。