原発再稼働をめぐり、電力各社の明暗が鮮明化してきた。原子力規制委員会による原発の新規制基準に基づく安全審査が始まり、原発停止に伴う火力発電の燃料費増加にあえぐ電力各社は収益改善に欠かせない早期の運転再開に期待を寄せる。北海道、関西、四国、九州の4電力会社が安全審査を申請したが、審査次第では“後回し”にされる可能性もある。審査を通っても地元の理解を得なければならず、思惑通り再稼働にこぎ着けられるかは予断を許さない。
「本心ではそんな津波は来ないと思っているのか」
東京・六本木の原子力規制庁で今月16日に開かれた規制委による初めての審査会合。居並ぶ委員から電力会社の担当者に、こんな厳しい質問が飛んだ。
新基準は東電福島第1原発事故を教訓に従来の指針などを見直して策定、8日施行された。炉心溶融や放射性物質の大量放出といった過酷事故への対応や地震、津波対策を強化したのが特徴だ。再稼働には新基準に適合していることが条件となる。