カンボジアの総選挙をめぐっては投開票直後、与党・人民党が「与党68議席、野党55議席」との独自集計結果をもとに勝利宣言した。改選前の議席は、与党90議席、野党29議席(旧サム・レンシー党と旧人権党の合計)、その他4議席で、与党が大幅に議席数を減らすことは確実だ。一方の野党は「63議席以上を獲得している」として、与党発表を認めていない。
投開票日の1カ月前から始まった選挙運動は、7月19日に野党のサム・レンシー党首がシハモニ国王の恩赦を受けて事実上の亡命先であるフランスからカンボジアに帰国してから、一気に盛り上がった。
サム・レンシー氏は2009年、現政権のベトナムに対する姿勢を非難し、ベトナムとの国境を定める杭(くい)を抜いたため、器物損壊などの罪に問われた。10年、同氏は国会議員の不逮捕特権を剥奪されたためフランスに渡り、カンボジアではこの件について本人不在のまま懲役刑が言い渡された。以後、身柄拘束を避けるため、カンボジア国外で政治活動を続けていた同氏だが、国王の恩赦を受けて帰国。党首を迎えようと、空港周辺の道路は支持者で埋め尽くされた。