厚さ数十センチで崩壊
現地調査した群馬大の清水義彦教授(水工学)は「きめ細かく水分保持力の強い火山灰が崩落していた。雨水を含んで重くなり、表層崩壊が起きたのだろう」と話す。
大量に水を含んだ火山灰層は、溶岩層との境界面から根こそぎ崩壊することが多い。だが、今回は地表から50センチ~1メートルのごく浅い部分だけが崩れており、溶岩層が露出した場所はほとんど見つかっていない。清水教授は「火山灰層の内部で崩壊が起きた可能性がある」と指摘する。
森林総合研究所の現地調査によると、火山灰層の内部は、スコリアと呼ばれる軽石と火山灰で5つの層に分かれていた。スコリアの方が水を通しやすく、より弱いが、どの層が崩れたのかは分かっていない。
地表から数十センチの崩壊面では「パイピングホール」と呼ばれる雨水や地下水が噴き出た痕跡も見つかっており、崩壊との関連を調べる必要があるという。
京都大防災研究所の福岡浩准教授(地滑り学)の分析では、最初に崩れた場所は30度以上の急斜面で、土石流は最大時速60キロと非常に速く威力が大きかった可能性がある。
被害は土石流だけではなかったようだ。倒壊した家屋や道路には上流から押し寄せてきた倒木が数多く残っていたが、火山灰はあまり付いていなかった。