国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防開門をめぐり、長崎地裁が営農者らの訴えを全面的に認め、開門差し止めの決定を出したことを受け、諫早市の住民らは「地元の思いがようやく通じた」と喜びに沸いた。福岡高裁判決は確定しているため、法廷闘争はなお続くが、住民は「最新の知見と地域の実情を踏まえた今回の決定が優先される」として開門阻止に向け、さらに活動を活発化させる構えだ。
「完勝だと思います。まだ仮処分なので『開門してはならない』という正式な判決に持っていくため引き続き全力を尽くします」
差し止め決定を受け、原告弁護団の山下俊夫団長は12日夕、こう語った。
諫早市の中央干拓地で農業を営む原告団の山開博俊氏(66)は「国が開門しないと約束したから干拓地に入植しただけに、ずっと裏切られた思いだった。こういう決定が出て本当にホッとしています」と語った。
農水省は潮受け堤防締め切り後の平成14年、1度だけ短期開門調査(27日間)を実施した。その上で「有明海の海洋環境の影響は検証できない」と結論づけ、16年に「今後調査は行わない」との方針を表明した。