東芝技術漏洩事件 逮捕に踏み切った背景…技術流出への危機感

2014.3.13 20:55

 東芝の研究技術が韓国企業に漏洩(ろうえい)した事件で、警視庁捜査2課が元研究員を不正競争防止法違反容疑での逮捕に踏み切った背景には、新興国企業への人材流出を通じた技術流出に歯止めがかからず、技術立国・日本の足元を揺るがしかねない危機感があったからだ。

 近年、業績不振に苦しむ国内メーカーを中心にリストラが進み、将来に不安を感じた技術者の多くが、給与など好待遇の条件を示す韓国のサムスン電子や台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などへ転職が相次いだ。彼らの経験や技術が、受け入れ企業の急成長の手助けとなった。

 技術流出に頭を悩ます国内企業は、退職後も秘密を守る契約を社員と結ぶなど対策を講じてきたが、有効な手立てになっていない。企業の秘密が公になるリスクがあるため、法廷闘争にも二の足を踏むという。

 海外メーカーに押され気味の国内の電機業界は、今後もリストラによる構造改革を進める企業が多く、人材流出を伴う技術流出が続くリスクが残されている。今回の逮捕は、企業秘密など重要な情報が持ち出される現状に、歯止めをかけたい捜査当局の意欲の表れともいえる。(太田明広)

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