「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)連載の人気漫画「美味しんぼ」に、東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が描かれ議論を呼んでいる問題で、福島県は12日、作中の表現について、ホームページ上で「本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾」と非難した。
同県は「週刊ビッグコミックスピリッツ『美味しんぼ』に関する本県の対応について」と題する文書を同日付で公表。冒頭で「作中に登場する特定の個人の見解が、あたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない。県としても大変危惧している」と指摘した。
また、全県民を対象にした健康調査や甲状腺検査など、健康面への不安に応える取り組みに加え、県産の農林水産物についても除染やモニタリング調査などによる安全確保で、「ようやく本県への風評も和らぎつつある」と強調。その中で発生した今回の問題に対し、「県民、そして本県を応援いただいている国内外の方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるもの」と強い言葉で抗議した。
一方で「美味しんぼ」やそのほか小学館の出版物に関し、医療、教育、科学などの関係各機関から科学的知見や多様な意見、見解を綿密に取材、調査した上で「偏らない客観的な事実を基にした表現とするよう強く申し入れている」とした。