原子力規制委員会は16日の定例会で、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の事実上の合格証となる「審査書案」が提示された。昨年7月の審査開始から約1年を経て、新規制基準に基づく川内の安全性を確認し、了承した。審査申請中の計12原発19基のうち、川内は合格の第1号となり、地元の同意などを経て今秋にも再稼働する。
審査書案は418ページで、「施設の設計基準」と「重大事故対策」と大きく2つに分かれて記載。地震、津波、竜巻、火山の噴火などの自然災害を個別に評価したのが特徴で、重大事故が起きた場合にどういう対策が取られているかを詳細に記述した。
審査書案によると、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を最大加速度620ガルなどとより厳しくしたほか、想定する最大の津波の高さも約6メートルに引き上げた。周辺火山(カルデラ)の巨大噴火に伴う火砕流などで、運転期間中に影響を受ける可能性については「(九電が)十分小さいとしていることは妥当」と記述。「九電が提出した川内原発の申請書を審査した結果、原子炉等規制法(新規制基準)に適合しているものと認められる」と結論付けた。