東京電力福島第1原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏の聞き取り調査をまとめた「吉田調書」。4回目は、1号機が爆発したときの吉田氏の証言をまとめた。
想定していなかった
〈1号機は平成23年3月12日午後3時36分、水素爆発を起こし、原子炉建屋上部が大きく損壊した〉
--どのように爆発を把握したのか
吉田氏「爆発については全然想定していなかった。免震重要棟にいたが、1号機は全然見えないんですね。線量が高いから外に出られないような状態で、誰も外に行って見ていない。その時に下から突き上げるような、非常に短時間のドンという振動がありましたから、また地震だという認識でおりました」
「現場から帰ってきた人間から情報が入ってきて、原子炉建屋の一番上が柱だけになっているという情報が入ってきて、何だそれはと。その後、けがした人間も帰ってきて。最初は原因が分からないという状況でやっていました」
--爆発する前、炉心の状態はどのようなものだったか
吉田氏「格納容器の圧力が上がっていたわけだから、ベント(排気)しようということで操作したわけですよ。バルブを開けても圧力バランスでベントできない。もう1つは注水。この2本に絞って作業を傾注していた」