シリア北部ラッカで行進する過激派「イスラム国」の戦闘員ら(AP=共同)【拡大】
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に参加しようと北海道大学の男子学生(26)らがシリア渡航を企てた事件が波紋を広げている。宗教・政治的関心がないにもかかわらず、「戦場」という非日常を望む若者たち。その心理的背景には、自己実現に行き詰まった末の厭世(えんせい)観や閉塞(へいそく)感が見え隠れする。
「イスラムに関心はない」。渡航の計画段階で、北大生は周囲にこう語ったという。警視庁公安部の任意聴取には「戦闘になれば人を殺すつもりだった」と話し、「就職活動がうまくいかなかった」と現状への不満をほのめかした。
シリアへ同行取材する予定だったジャーナリスト、常岡浩介氏(45)は北大生について「応対もしっかりしたイケメン。何かに悩む様子はなかった」と振り返る。
ただ「日本にいてもどうせ数年後に自殺する」と話す内面とのギャップに驚いた。「外国人で戦闘員になるのはその地域に強い思い入れのある人ばかり」といい、北大生の感覚に違和感を覚えたという。