ただ、新幹線を逆走させることについて、JR東海の担当者は「詳しく調べてみないと分からないが記憶にない」といい、混乱なども予想される。さらに、逆走させてまで乗客を駅に誘導できたとしても課題は残る。
駅から地上に向かうケーブルカーは一度に約20人しか運ぶ能力がなく、今回の場合も124人の乗客全員を運び終えるのに9往復し約3時間半を要した。新幹線の定員は今回の乗客の約6倍の731人で、避難完了までにかなりの時間を要することになる。
品川-名古屋駅間のうち86%が地下を走るリニア中央新幹線では、4、5キロごとに設けられるトンネル非常口が、都市部ではエレベーターを備え、山間部では緩やかな坂となるように設計し、乗客らが助け合って地上に上がれる手段を講じるという。
しかし、青函トンネルの2つの旧海底駅から地上に通じるのは、ケーブルカー以外では階段のみ。2駅は、それぞれ1317段と1183段もあるといい、乗客が助け合って上がるのは難しく、国土交通省が来春の開業までに求める根本的な安全対策づくりは難航も予想されている。
鉄道アナリストの川島令三さんは「トンネル内では消火設備のある安全な地点まで避難するという鉄則をJR北が守らなかったことが、今回の最も大きな問題だ。地上に迅速に上がれないのは仕方がない面があるが、まずは、逆走をしてでも、この鉄則を守るということを徹底すべきだ」と話している。(森本充)