【視点】高浜原発に運転差し止めの仮処分 司法リスクに直面する再稼働 (1/3ページ)

2015.4.21 05:00

 □産経新聞論説委員・井伊重之

 関西電力の高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請で、福井地裁が再稼働を認めない決定を全国で初めて下し、電力業界に衝撃を与えている。差し止め対象となった2基は原子力規制委員会の安全審査に合格し、今秋の再稼働に向けて地元同意などの準備を進めていたが、司法手続きでこの差し止めの決定が覆らない限り、運転の再開はできない。関電は仮処分を不服として異議を申し立てたものの、同社以外の原発再稼働も「司法リスク」と厳しく向き合わねばならなくなった。

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 福井地裁の樋口英明裁判長は、規制委が定めた原発の新規制基準について「合理性を欠き、審査に適合しても安全が確保されない」と批判し、住民の人格権が侵害される恐れがあるとした。樋口裁判長は昨年5月、関電の大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟についても、同じ論理で再稼働を認めない判決を下している。

 だが、最高裁は1992年、四国電力の伊方原発訴訟で原発の安全審査について「高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」と行政判断を優先する判決を出している。今回の決定はその判例から明らかに逸脱したものだ。

 福島原発事故後、原発の再稼働をめぐって10件にのぼる判決や決定が出ているが、稼働の差し止めなどを認めたのは樋口裁判長が担当した裁判しかない。反原発派は「司法の独立を示した」と勢いづくが、これまで積み重ねてきた判例を勝手な論理で覆すのであれば、それは「司法の暴走」と批判されても仕方ない。

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