写真展で建国の父、アウン・サン将軍の写真に見入るミャンマーの僧侶たち。アウン・サン将軍への思いは民族や宗教を超える=ヤンゴン(AP)【拡大】
■「親日説」を検証する
ミャンマー人は「親日家」だといわれる。それは本当だろうか。戦後の日本が平和国家を築き、目覚ましい経済発展を実現させたことから、ミャンマー国民の対日イメージはけっして悪くない。しかし、戦時中、日本軍は英領植民地だったこの国を3年半にわたって占領し、その間に中途半端な「独立」しか認めず、最後は組織的な抗日闘争と直面した。この事実をミャンマー人は学校教育で「独立の父」アウン・サン将軍の偉業と結び付けて教えられている。
◆つらい過去は忘れる
幸い、独立後のミャンマーは日本占領期を歴史的過去として認識し、現実の対日関係と結び付けることなく国民に教育してきたため、戦後の日本人はミャンマー人の敵意にさらされることはなかった。国民の9割を占める上座仏教徒が「つらかった過去は忘れる」という宗教的姿勢を持って生きてきたことも、日本人への憎しみを生みにくくさせた。
だが、ミャンマー人の心には「平和国家」「経済大国」という良い日本のイメージとともに、「かつての占領者」というマイナスのイメージも併存していることを忘れてはならない。
ミャンマーへ遺骨収集に行った日本の元軍人の多くは、苦しい戦場で自分たちを助けてくれたミャンマー人へ感謝の気持ちを抱いていた。恩返しの気持ちからミャンマー人留学生に奨学金を出す人もいた。戦記や回想録にもミャンマー人の戦時中のやさしさに触れたものが少なくない。
しかし、ミャンマー人が戦時中の日本軍将兵に同情的だったという見方は、バランス感覚を持って受け止めたほうがよい。というのは、彼らが戦時中、英人に対しても同様にやさしかったという指摘が英側の公式記録に残されているからだ。