【飛び立つミャンマー】根本敬・上智大学教授の「ビルマ考現学」(4) (2/3ページ)

2015.5.8 05:00

写真展で建国の父、アウン・サン将軍の写真に見入るミャンマーの僧侶たち。アウン・サン将軍への思いは民族や宗教を超える=ヤンゴン(AP)

写真展で建国の父、アウン・サン将軍の写真に見入るミャンマーの僧侶たち。アウン・サン将軍への思いは民族や宗教を超える=ヤンゴン(AP)【拡大】

 日本軍がミャンマーを占領中の1943年11月、英領ビルマ総督ドーマン=スミスがまとめた「ビルマ作戦報告書」の中に、その記述が登場する。ここでいう「ビルマ作戦」とは、英軍が日本軍に敗北を喫した初期のビルマ防衛戦のことを指す。わずか半年の間にビルマを占領され、英軍と英人行政官らは家族とともに険しい山々を必死に乗り越え、西隣の英領インドへ避難した。

 その際、多くの英人はビルマでの反英運動の強さを知っていたため、彼らから「仕返し」をされるのではないかと恐れた。しかし、避難後に総督が実施した調査によると、誰一人そのような目に遭った英人はおらず、逆にさまざまに助けてもらったエピソードがたくさん集まり、総督を驚かせている。そのため「ビルマ人は英人を嫌っておらず、われわれの帰還を待ち望んでいる」と結論づけたほどである。

 ◆英国にも親近感

 こうなると、ミャンマー人は戦時中、日本人にも英人にも親切だったということになる。共通点はそのような「語り」が、いずれも日英それぞれの敗戦状況下で生まれていることにある。このことからわかるように、ミャンマー人は「困っている外国人」には誰でもやさしく接する特徴があるといえよう。

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