◆環境省のモデル事業に
紫波中央駅から歩いて3分ほどのところに地域熱供給サービスを行う「エネルギーステーション」があります。昨年7月中旬に竣工(しゅんこう)し、同7月下旬から熱供給を開始しました。木質チップ焚(ふん)温水ボイラー(500キロワット相当)を中心に、冷房熱を供給する吸収式冷凍機(404キロワット相当)のほか、熱供給配管、蓄熱タンクなどが導入されています。
木質チップ焚温水ボイラーは、町内の森林から集めた木質チップ(年間約1000トン・水分約30%)を主燃料として利用し、オガール地区のエコハウス57戸に暖房熱と給湯熱を、紫波町役場新庁舎に暖房熱と吸収式冷凍機経由で冷房熱を、オガールベースには暖房熱、冷房熱、給湯熱を供給しています。木質チップの供給は、紫波町農林公社が一括して行うため、安定的に燃料を調達することができます。
このように住宅街区も含む複数の施設に木質バイオマスで熱供給を行う事業は全国的にも珍しく、オガール地区地域熱供給は、環境省「平成24年度地域の再生可能エネルギーなどを活用した自立分散型地域づくりモデル事業(一部設備を除き2分の1補助)」にも選定されています。
オガール地区地域熱供給の事業主体である紫波グリーンエネルギーの代表取締役、山口勝洋氏は、長野県飯田市の太陽光発電のまちづくりにも関わってきたなど、全国各地での省エネ・自然エネルギー事業の経験を持つエキスパートです。
「熱供給の燃料として、これまで多く出回ってきた高価な製紙用チップではなく、燃料用チップを安価に紫波町農林公社に供給してもらい、間伐材などを積極的に利用しています。可能な限り町内産の材を利用することで、健全な森林の形成を促すこともできます」(山口氏)