開放特許の活用によるビジネス創出に積極的な富士通の吾妻勝浩氏は「文系は商品アイデアを出すだけでなく、市場や販路などを調べて商品化後の出口も設計する。事業計画まで落とし込むこともある」と文系力を評価する。
今年も5月27日、埼玉大学経済学部の2年生に7つの開放特許を説明した。学生による知財アイデア全国大会出場に向けたキックオフミーティングという位置付けだ。
この大会は、アイデアを披露し合う単なるビジネスコンテストではない。売れる商品を開発するのが目的だ。まさに知財を活用したビジネス創出が狙いで、そのアイデアを基に中小企業が商品化し稼ぎ出す。
前回の全国大会には、地区大会を勝ち抜いた10大学が参加。優勝を目指す学生と、ビジネス創出機会をうかがう中小企業が顔をそろえた。その中で優勝したのが同大経済学部のチームで、富士通の開放特許「マスコットロボット技術」を生かした「ゆるちゃろいど」を紹介。スマートフォンに接続しているときは充電器として機能し、非接続時はスマホの置き忘れを音で知らせる機能を持つキャラクターグッズだ。
埼玉県深谷市のゆるキャラ「ふっかちゃん」のぬいぐるみがかぶせられているが、全国のご当地キャラや企業、大学のキャラクターと着せ替えも可能で、地域性を出しながら全国展開も視野に入れる。しかもライセンス料がかからないご当地キャラなら売り上げの4%を地域還元する「地域貢献料」も設定されており、高く評価された。