越智小枝さん【拡大】
--放射線は発がんリスクの「ワン・ノブ・ゼム」ともおっしゃっています
「せっかくがんを語るのであれば、放射線だけでなくその他の発がんリスクについても知っておくべきで、例えば喫煙や化学物質、糖尿病などでも共通だということです。実は私たちの日常生活には発がんリスクがあふれており、がんの『ゼロリスク』という状態は現実的にはあり得ないといっても過言ではありません。一番有名なのは喫煙ですが、それ以外の生活習慣でも、例えば肥満、運動不足、野菜不足、心的ストレス、塩分過多などでがんのリスクを1.05~1.2倍程度増加させるという報告もあります。野菜は発がん率を下げるといわれていますが、その野菜自体にも少量の発がん物質を含むこともあります。食品添加物や化粧品も同じですし、大気汚染や遺伝的要因など放射線と同じように個人の努力では避けがたいリスクも存在します。福島の放射線と東京の大気汚染とどちらが怖いかというと、無味無臭だからわかりにくいのですが、東京の大気汚染も怖いのです。世の中には100ミリシーベルトに相当する健康リスクはいっぱいありますし、外部被ばくを避けようと外出せず、運動不足や肥満になれば、がんの相対リスクは1.2倍程度に上がります。とくに高齢者にとっては、放射線回避行動が新たな発がんリスクを呼び込む可能性もありますので、日常生活にあふれている健康リスクを理解したうえで、放射線とそれ以外のリスクを自分で選択するということが何よりも大切だと思います」
■二極化の議論は問題
--低線量放射線の影響や農産物、魚介類など食物の汚染基準の扱いについては、専門家でも意見が分かれています