東芝は20日、会計問題を調査してきた第三者委員会の報告書の概要を公表した。報告書では、平成21年3月期から26年4~12月期で計1518億円の税引き前利益を水増ししていたと指摘した。
水増しした利益の内訳は、インフラなどの「工事進行基準」に伴うものが477億円▽パソコンやテレビなどの部品取引に関するものが592億円▽半導体の在庫にかかる水増しが360億円▽取引先などに請求書の発行を遅らせてもらい、経費の計上時期をずらす手法が88億円-とした。
調査委は不適切な会計処理が行われた直接的な理由として、「経営トップらを含めた組織的な関与があった」と指摘。社長だった当時の西田厚聡氏や佐々木則夫氏らが、各事業部門に対し、売上高や利益などの目標で「厳しいチャレンジ」を課し、強いプレッシャーをかけたと指弾した。
その上で、調査委は「上司の意向に逆らうことができない企業風土が存在した」と指摘。不適切な会計処理は「多くの事業部門で同時並行的かつ組織的に実行された」と指摘した。
再発防止に向け、関与した取締役など役職者や幹部職員について、引責・懲戒人事が必要だとしたほか、目標達成を強制する仕組みを排除し、上司の意にそぐわない結果となってもルールを守るよう、企業風土の改革を求めた。