総会議長をやる社長は、指示せずとも、部下が総会屋対策をしていることを当然わかっていたはずだ。正不正にかかわらず、上司の表情を読んで仕事を進めるやり方は珍しくない。作家の内橋克人氏が「忖度(そんたく)の経営」と呼んでいた。
今回の東芝のケースでは、弁護士や会計士で構成した第三者委員会が、責任を曖昧にする道具として使われている。第三者委員会の報告書と社長辞任を発表した会見で、田中前社長は報告書を盾に責任問題で言質を取られぬように答えていた。
どうして不正を断てなかったのかとの質問には、「第三者委員会の報告書をご覧ください」。「粉飾」と考えていないのかには、「報告書に『不適切な会計処理』と記載されています」。報告書に「容認した」とあるがと尋ねられると、「『許容した』という表現を含めて報告書を真摯(しんし)に受け止めて、今後に生かしてまいりたい」という具合だ。
利益に関して「過大な要求をした」ことも、利益操作を「直接指示した」ことも、ともにその「認識はない」と言っている。報告書が認定した「関与」をことごとく否定しているわけだ。