ところが社長辞任は「第三者委員会のご指摘を厳粛に受け止め、経営責任を明らかにするため」と言う。「受け止める」は便利な言葉で、認めるかどうかは別の問題である。報告書は第三者がまとめたものだ。内容に責任を負わなくて済む。真摯に厳粛に受け止めるだけでよい。
不祥事を起こした当事者は、自ら調査しても信用されないので、当たり前のように「第三者委員会」を設置して調査させる。事実関係を明らかにするための形は整う。しかし皮肉な見方をすれば、これで当事者は真相や責任の所在を究明する「責任」から逃れられて、組織防衛を図れる。
第三者委員会も本来の趣旨と違って、責任問題を散らすために使われかねない。誰が中心的役割を果たし、ことの本質は何か、分かりにくい東芝にも、日本的組織の問題があるようだ。
【プロフィル】森一夫
もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。65歳。