温暖化対策の観点から逆風が吹く石炭火力発電所。写真は東京電力の広野火力発電所=福島県広野町【拡大】
事業主体の大半は自治体と連携した新電力だ。彼らはベース電源がほしいものの、50万キロワット以上の大型電源は必要なく、小回りの利く10万キロワット級がちょうどいい。多くは木質バイオマス混焼であり、地元にも廃材や間伐材を売れるメリットがある。経産省と環境省は一定の立地規制を講じる構えだが、電力会社が小型電源に目くじらを立てるのは、新電力の勢力伸長を抑えること以外に理由がある。ある電力会社の幹部がつぶやいた。
「これから石炭火力の陣取り合戦が始まる。“CO2まみれ”の電力会社はそれに参戦できなくなるだろう」
政府の温暖化ガス削減目標の策定に伴い、30年の最適な電源構成も決まった。総発電量に占める原子力の比率は20~22%(現状0%)を維持する一方、石炭火力は26%(同30%)へ低下させる方針。26%から導かれる総出力は4500万キロワットになるが、すでに既存の石炭火力は4000万キロワットの総出力に達しており、1500万キロワットを超える新増設計画は1000万キロワット以上がオーバーキャパシティーとなるのだ。
◆CO2排出係数が分水嶺に
すでに環境省は、Jパワー、大阪ガス、宇部興産が山口県に共同建設する120万キロワットの大型電源に難色を示し始めた。今後、どのプロジェクトが実現するかを占うとき、分水嶺(れい)となるのは各事業者のCO2排出係数だ。