温暖化対策の観点から逆風が吹く石炭火力発電所。写真は東京電力の広野火力発電所=福島県広野町【拡大】
電力9社と新電力23社は、30年に目指す排出係数を1キロワット時当たり0.37キログラムとすることに合意した。これに対し、9社の最新13年度の排出係数は原発停止を受けて軒並み悪化し、最良が中部電力の0.51キログラム、最悪が中国電力の0.72キログラム。いずれも目標値に遠く及ばないが、比較優位の電力会社や新電力が石炭火力の陣取り合戦において優先されるのは当然で、逆に比較劣位の電力会社は老朽石炭火力の廃止を迫られるだろう。それを避けるためにも、電力会社は新電力の“環境アセス逃れ”の小型電源を封印してしまいたいわけだ。しかし…。
「規制強化によって電力の競争が阻害されるのはおかしくないか。安倍政権が掲げる地方創生にも逆行する」
自民党商工族のある幹部はこう指摘した。新電力のベース電源が建設できなければ、電力自由化は進展しない。何より地方の需要・雇用の創出機会が失われる。10万キロワット級の小型石炭火力の建設費はざっと1基300億円。約30件の計画が実現すれば、全国に9000億円近い経済効果が期待できる。しかも、環境アセスの対象外であるため、着手から稼働まで2年で済み、即効性の政策ツールとなるのだ。
果たして誰が新増設できるのか-。多くの利害と思惑が錯綜(さくそう)する中、“石炭火力バブル”は膨らみ続けている。
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【プロフィル】山崎康志
やまざき・やすし 日本工業新聞、外資系通信社記者を経て2001年独立。記者時代からエネルギー産業、IT産業、郵政事業、産業政策などを取材。著書に「電力・ガス業界大研究」(産学社)、構成に仙谷由人著「エネルギー・原子力大転換」(講談社)。1959年東京生まれ。