「10代で経験し思索した記憶をたぐり寄せ、そこからイメージを拾い上げていった」。東京都内で10日に行われた第27回世界文化賞受賞者発表会見には、絵画部門に選ばれた美術家、横尾忠則さん(79)も出席し自らの歩みに思いをはせた。
戦時に少年期を過ごし、上空を爆撃機が飛び交う恐怖を体験した横尾さん。当時の「常に死と結びついているという不安」が、生と死が往還する独特な絵画表現の底にあるという。最近突然耳の聞こえが悪くなったことも明かし、「残された時間はそんなに長くないと思うので、これからは一作一作、遺作のつもりで描いていきたい」と決意を語った。
会見には、横尾さんと親交の深い第13回世界文化賞(絵画部門)受賞者の李禹煥(リ・ウファン)さん(79)も同席。「不安感やおびえがあると同時に不思議なエクスタシーを感じる。魂に訴え、深いところを打つ力を持っている」。李さんは横尾作品の魅力をそう熱っぽく語った上で、「『遺作』と言わず、どんどんと深い泉を掘り起こし、世界のアーティストとして大きな展開をしてほしい」と激励した。