【Science View】 (1/4ページ)

2015.10.22 05:00

≪本研究成果のまとめ≫自然免疫に記憶が存在し、病原体感染によるエピゲノム変化の持続がそのメカニズムである。

≪本研究成果のまとめ≫自然免疫に記憶が存在し、病原体感染によるエピゲノム変化の持続がそのメカニズムである。【拡大】

  • 理化学研究所光量子工学研究領域エクストリームフォトニクス研究グループアト秒科学研究チーム専任研究員・鍋川康夫さん
  • 実験の模式図
  • 理化学研究所石井分子遺伝学研究室上席研究員・石井俊輔さん

 ■1000兆分の1秒の時間遅延を観測

 □理化学研究所光量子工学研究領域 エクストリームフォトニクス研究グループ アト秒科学研究チーム専任研究員・鍋川康夫

 水素分子は2つの陽子と2つの電子で構成される。パルス光の照射で水素分子を瞬間的にイオン化すると、2つの陽子の結びつきが弱まり水素分子イオン(陽子)は振動を始める。これまで、水素分子イオンが振動を始める前の「波束」は1000兆分の0.1秒以下の時間で形成されるといわれていたが、計測例はなかった。

 研究チームは2012年に3000兆分の1秒という短い時間幅の「アト秒(1アト秒は10のマイナス18乗秒)パルス列」と呼ばれるパルス光を用いて、水素分子イオンの波束の観測に成功している。この方法では、水素分子のイオン化と水素イオンの解離過程を、分子1つに対して光子1つが吸収される「1光子吸収過程」で表すことができる。これを用いてどのように波束が作られるかを解明しようとした。

 実験は、約300アト秒のパルス列を2つに分け、片方のアト秒パルス列がもう片方のアト秒パルス列よりわずかに遅れてターゲットの水素分子に到達する光学装置を使って行った。実験の結果、研究チームは水素分子イオンが波束を生じる、すなわち振動開始には約1000兆分の1秒という、これまでの常識よりも10倍以上「長い」準備時間が必要であると結論づけた。

 この長い準備時間を利用することで、波束の生成過程をパルス光で制御できる。分子運動の光制御では分子中の電子を光「励起」することが重要な役割を果たすが、その励起よりもはるかに速く応答する「イオン化」が新たな超高速光制御技術をもたらす可能性がある。

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