【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(31) (3/3ページ)

2015.11.5 05:00

チャウセー郡タウンフルェ村で田植え中の早乙女たち。誰に投票するかと質問してみると、候補者は知らないが、ドー・ス(アウンサン・スーチー氏のこと)の政党に投票する、と答えた=8月(筆者撮影)

チャウセー郡タウンフルェ村で田植え中の早乙女たち。誰に投票するかと質問してみると、候補者は知らないが、ドー・ス(アウンサン・スーチー氏のこと)の政党に投票する、と答えた=8月(筆者撮影)【拡大】

 ◆党旗を見て投票を

 チャウセーから南に何百キロも下った、ヤンゴン近郊のフレグー郡では現職の電力大臣、キンマウンソー氏が、USDPから下院議員に立候補している。同党の中では数少ない、当選が有力視されている候補である。だが、変電所の開設式にUSDPの旗を掲げたり、変圧器に同党の紋章を張ったりして、自らの選挙運動に国の財産を不正に利用したとして、NLDから訴えられている。最近のニュースによると、USDP候補の賄賂紛(まが)いの選挙活動が全国的に目立つとのことである。

 同郡内の村を訪ねてみると、反イスラム・反NLD運動で名を上げている仏教僧侶団体マバタ(民族宗教保護委員会)派の僧侶に出会った。彼は電力大臣の支持者でもあり、村人たちの投票もそちらに向かわせようとしているが、どうもうまくいっていないようである。村人たちは僧侶の説法は素直に聞くが、投票はそれとは別物のようである。

 また、村の役所には選挙人名簿が張り出してあるが、デルタ地帯では小集落があちこちに点在してひとつの行政村をなすため、記載漏れが多いとのことである。水田の出作小屋に住む農民たちが選挙に来るかどうかも分からないと、担当者は話していた。

 NLD党首のアウンサン・スーチー氏は「候補者を見る必要はありません。党の旗と紋章を見て、投票してください」と繰り返し、USDPは「(党ではなく)候補者を見て、仕事ができるか判断してください」とどぶ板選挙を行っている。そしてどの村でも、有権者は候補者よりもNLDという政党を選ぶ傾向が強いようである。(随時掲載)

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