バブル時代は「兜町の風雲児」 株価操縦容疑の「誠備グループ」元代表 「いまだに強い影響力」「大損、逮捕は当然」

2015.11.17 20:18

加藤●(=日の下に高)容疑者

加藤●(=日の下に高)容疑者【拡大】

 兜町の風雲児-。株価の上下に一喜一憂する投資家らを魅了し、証券会社がひしめく東京・兜町でこんな異名をとった最後の大物仕手筋が、司直の手に落ちた。全盛期には政財界などの大口顧客から数百億円を集めた大手仕手集団「誠備グループ」を率いていた加藤●(=日の下に高)容疑者(74)。昭和50年代には投機的な株の売買を繰り返し、手がけた銘柄は頭文字をとって「K筋」などと称された。

 だが、バブルが崩壊し、ネット取引の普及とともにデイトレーダーによる相場操縦が増加。従来の仕手筋はなりを潜め、加藤容疑者も表舞台から姿を消し、市場関係者の間では「過去の人」とみられていた。

 加藤容疑者が再び脚光を浴びるのは平成23年11月。「般若の会」という団体名で立ち上げた株式サイトの存在だ。逮捕容疑となった新日本理化を示唆し「(東日本大震災の)復興関連銘柄として大きな魅力が持てる。大相場になる雲行きを呈してきた」などと書き込むと、株価はたちまちストップ高になった。

 昭和56年5月、仕手で得た所得を隠し脱税したとして起訴され、東京地裁の法廷に立った加藤容疑者は「お客さんの名前や実態はいえない」と述べ、最後まで顧客の政治家らの名前を口にすることはなかった。そのために「無罪を立証できなくても仕方ない」とまで語った。

 ある捜査関係者は、「顧客の情報を取り調べや法廷でも明かさなかった姿勢が投資家らの絶大な信頼を勝ち取り、いまだに株式市場に強い影響力を保持できたのだろう」と推測する。最近は糖尿病や心臓を患い、入退院を繰り返していたというが、投資家の40代男性は「彼は株の世界ではいまだにスター」ともてはやす。

 ただ、加藤容疑者の書き込みに従い大損した人も少なくない。関東地方に住む70代の男性会社社長は約1億円の損を出したという。社長は「株価10倍なんてざらで、昔は本当にすごかった。あの時代を知っているからもっと上がると思って買い続けた」と悔しがり、「逮捕は当然と思う人間は多いのではないか」と話した。

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