共同研究グループは、CCFS患児と健常児を対象に、母音拾い上げと内容理解の両方と、どちらか一方の課題を行っている場合とに分けて脳活動状態をfMRIで測定した。その結果、CCFS患児も健常児も、両方の課題を行っているときには片方だけの場合に比べ、前頭葉の一部である左側の下前頭回背側部と頭頂葉の一部である左側の上頭頂小葉が活性化していた。次に疲労と脳の活性化の関係を調べたところ、疲労している健常児は、2つの課題を行っているときに左下前頭回背側部をより強く活性化させていた。一方、CCFS患児と健常児を比較すると、CCFS患児では課題1つの場合も2つの場合も右中前頭回が活性化し、さらに2つの課題では右中前頭回に加え、前帯状回背側部と左中前頭回も活性化していた。このことから、CCFS患児は過剰に神経を活動させて脳の情報処理を行うため、疲労が増強していると推定された。この成果は、CCFSの病態の解明や、治療法の開発への貢献が期待できる。
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【プロフィル】水野敬
みずの・けい 大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了、博士(医学)。日本学術振興会・特別研究員、科学技術振興機構研究員、理化学研究所研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、2015年4月から現職。
■コメント=子供の疲労の脳内機序を解明し、抗疲労ソリューションサイエンスを推進させたい。
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