【番頭の時代】関西から攻める 世界相手に知財戦略展開 (2/5ページ)

2015.12.19 05:00

 米国留学を経験した山中は特許の重要性を熟知していた。研究と知財の両方に精通した人材が是が非でも必要と考えたとき、脳裏に浮かんだのが高須だった。

 高須はその数年前、山中が奈良先端科学技術大学院大学に在籍していたころ、特許の出願を手伝ったことから面識を持った。まだ存在しなかったiPS細胞の研究について聞かされ、「夢みたいな話」と思ったが、山中の誠実で義理堅い性格は印象に残っていた。

 ◆特許の仕事は「天職」

 山中は京大に移った後、iPS細胞の作製に成功。あのメールの翌月、高須に「知財部門を任せたい」と伝えた。高須は「iPS細胞の知財戦略といえば国家プロジェクト。自分に務まるだろうか」。迷いはあったが、またとない魅力的なチャンスでもある。「断ったら後悔する」と自らを奮い立たせた高須は、「一生懸命やって駄目なら仕方ない」と腹をくくった。

 もともと高須は知財の専門家ではない。大学院で分子生物学の修士号を取得し、会社では遺伝子組み換え技術を研究していた。会社が特許をめぐる紛争に巻き込まれたことから知財部門に駆り出され、特許の仕事と出合った。

 「やりがいのある仕事だった。天職だと思った」

 高須は知財の仕事の面白さにのめり込んだが、恐ろしさも知った。米国企業を相手にした数年がかりの訴訟は敗訴に終わり、多くの時間と労力をつぎ込んだ研究が水の泡になる場面を目の当たりにしていた。

 魅力的で恐ろしい知財の分野で山中を支える。08年6月、高須は京大iPS細胞研究センターの知的財産管理室長に就任し、番頭として一歩を踏み出した。

 京都大学は現在、日米など約30の国・地域でiPS細胞に関係する計約90件の特許を保有し、基本的な知的財産はほぼ確保している。ただ、ここまでの道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。

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