COP21でのパリ協定採択を喜ぶフランスのオランド大統領、ファビウス外相、潘基文国連事務総長ら(右から)=12日、パリ郊外(AP)【拡大】
ロシア人でIAEA事務次長のミハイル・チューダコフ氏はCOP21のサイドイベントの中で「原子力はカーボンフリーで、クリーンで信頼性の高い、手頃な価格の地球温暖化対策の選択肢の一つとして重視されるべきだ」としている。
いずれも発電段階でCO2を発生しない原発の特長を端的にとらえており、原子力の積極利用なしに他の方法でアプローチするのでは地球環境問題の解決、2度目標の実現はおぼつかないという、科学者が到達したグローバルで合理的な結論である。
もし各国がそれを踏まえた方向にかじを切らず、今COP21の法的拘束力のない約束にしがみつくのであれば、それは問題解決の先送りに過ぎない。わが国の資源エネルギー庁高官も「原発新増設・リプレースは視野に入っていない」と自民党のある会合で先日語っていたが、本当にそれでいいのか。
また、原子力のもう一つの特長であるウラン資源をリサイクルし、最大限に有効利用するという原子燃料サイクルの重要性も忘れてはならない。同サイクルには「高速増殖炉サイクル」と「軽水炉サイクル」の2つがある。
◆各国が高速増殖炉開発
「日本原子力研究開発機構はもんじゅを安全に運転する資質を有していない」とした、原子力規制委員会の勧告で一躍有名になった「もんじゅ」は、高速増殖炉の原型炉で、ウラン資源の利用効率を高めつつ、廃棄物の減容化、短寿命化を図る「高速増殖炉サイクル」の実現には欠かせない。