福井地裁=24日、福井市(村本聡撮影)【拡大】
差し止め命令が覆ったことで、高浜原発は再稼働に向けて大きく前進した。4月の決定では「世界最高水準」と誇っていた新規制基準そのものを否定されたため、全国の原発への波及が懸念されていたが、原子力規制委員会は今回の決定を「当然だ」と受け止める。そもそも4月の決定は明らかな間違いが随所に見られ、原発の基礎的知識も欠いた異質なものだった。
「われわれの規制や審査が正しいと思ってやってきた。裁判所の決定にかかわらず、法令に従ってやるだけだ」。差し止め命令が覆ったとの報を受け、原子力規制庁の幹部は安堵(あんど)した表情でこう語った。
規制委の審査を全てクリアした高浜は、再稼働前の最終段階となる使用前検査を受けていたが、裁判結果を待つため、検査は全てストップしていた。
今月22日には地元・福井県の同意が得られ、再稼働に向けたハードルはなくなった。仮処分決定の取り消しを受けた住民側は高裁に不服を申し立てる方針を明らかにしたが、高裁が決定を覆さない限り、当面は再稼働への影響はない。
4月の運転差し止めの仮処分は、原発の運転禁止を命じた全国で初めてのケースだ。裁判長は樋口英明判事(現・名古屋家裁)で、決定内容の間違いは明らかだった。