【視点】東日本大震災から5年 仮設入居者いまだ6万人の現実 (2/3ページ)

2016.1.5 06:01

 県や市町村が整備し、安い家賃で入れる「災害公営住宅」の完成の大幅な遅れも拍車をかけた。用地の取得、作業員の確保に時間がかかり、復興計画の作成までたどり着けず、2015年度末の完成見込みは計画の63%。集団移転をする高台への移転事業は47%にすぎない(復興庁調べ)。

 また、災害公営住宅は仮設にはない家賃という新たな要素があり、移転への決断を妨げてもいる。宮城県最大の被災地、石巻市にある石巻専修大学の調査によると、震災前の同市の住居は戸建て率が9割弱。「先祖からの持ち家が多く、ローンの概念が比較的薄い。民間よりは安い家賃だが、それでも抵抗がある」(山崎泰央・経営学部教授)という。また、「自力で再建しようにも資材の高騰や土地の値上がりなど、新たなハードルが待ち構えている」(石巻市生活再建支援課)という問題もある。

 石巻市の75歳の男性は「もう年だから、移りたくない」。撤去時期が来ても「行くところがない」という。「足が悪く、エレベーター付きの住宅を希望している」という人も。少しでもいい条件・物件に引っ越しできるよう様子を見ているのだという。

 全てが初めての経験。住民だけでなく、サポートする行政側も戸惑いの連続だった。だが、5年を迎える前に入居者自身にもあえて厳しい選択が迫っているという意識が必要だと言いたい。この先、永久的に行政のサポートは得られないだろうという意識だ。家族や自宅、仕事などを失った入居者には過酷なことは理解しているが、妥協や調整などで可能なことがないか。考える時期にきてはいないだろうか。

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