クレーン車で転落した国道脇から移動されたスキーバスと、現場の散乱物を調べる長野県警の捜査員ら=1月15日、同県軽井沢町【拡大】
◆最優先は原因究明
ただし、安易な規制の再強化では安全対策の原点を見誤ることになりかねない。産経は16日付主張で「再発防止のためにまず必要なのは事故原因の究明」と指摘。同日付の他紙社説も、「運行管理は万全だったのか」(読売)、「教訓は生かされたのか」(毎日)などの見出しを掲げ、なにより急ぐべきは事故原因の徹底分析だと強調した。
貸し切りバス事業は、2000年に、それまでの認可制から、一定の条件を満たせば新規参入を認める許可制に変わった。観光立国を目指すうえで、バス事業の活性化が不可欠だとの判断からだった。狙い通り、事業者数はこの15年でほぼ倍増したものの、一方では、競争激化に伴う安全確保への懸念も指摘されるようになっている。
その契機となったのが、12年4月に群馬県の関越自動車道で発生した高速ツアーバス事故だ。防音壁に突き刺さるように激突して7人が死亡、38人が重軽傷を負ったこの事故は、無理な運行を強いられた運転手の居眠りが原因とされた。
その後、国は過労運転の防止策として、運転手1人が1日当たりに運転する距離や時間を短縮、交代要員の配置基準も改めた。運転手の健康管理や車両整備も基準を厳しくした。しかし、事故は減少するどころか、むしろ増えてきているようにもみえる。
軽井沢の事故後も、1月20日には東京都内で観光バスが信号柱に衝突。乗客24人が軽いけがを負っている。その後も大型バスの事故は、毎日のように報じられている。
軽井沢の大惨事でメディアが過敏になっている面もあるだろうが、その後も緊張感を欠く事故が後を絶たないことに、利用者の不安は消えない。