【社説で経済を読む】規制再強化ではバス事故防げず (3/3ページ)

2016.2.1 05:00

クレーン車で転落した国道脇から移動されたスキーバスと、現場の散乱物を調べる長野県警の捜査員ら=1月15日、同県軽井沢町

クレーン車で転落した国道脇から移動されたスキーバスと、現場の散乱物を調べる長野県警の捜査員ら=1月15日、同県軽井沢町【拡大】

 信号柱に衝突したバスの運転手(58)は、調べに対して「(まもなく目的地に)到着する安堵(あんど)感でぼーっとしていた」と供述している。運転手、事業者の双方に気の緩みが蔓延(まんえん)しているのではないか。

 17日には、兵庫県の高速道路で観光バスが突然、蛇行運転を始め、女性添乗員がハンドル操作を補助して、かろうじて停止させる出来事もあった。事故に至らなかったのが不思議なほどだ。その後の精密検査で、運転手(70)は後天性の「症候性てんかん」と診断されている。それまで本人に自覚症状はなく、定期的な健康診断でも問題なしとされていた。

 ◆技量確認も不可欠

 旅客機や列車と違い、バスには、運転手に突然の問題が発生した場合の安全装置はない。バス事業者はもちろんだが、運転手自身も、多数の乗客の命を預かっているという強い自覚が求められている。そのためには、日頃から安全運転について高い意識を持つとともに、プロとしての技量向上にも不断の努力が欠かせない。

 軽井沢の事故を起こした運転手(65)は転職したばかりで、直前の5年間働いた職場では小型バスだけを担当していた。大型バスや深夜の運転には不安を訴えていたとされ、それを承知で運転させたとすれば、事業者側の責任は免れないだろう。

 運行管理者がルールを厳守するのは当然だが、運転手の高齢化も進んでいる。技量や健康のチェック態勢についても、根本から検討し直すべきだ。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。