小惑星探査機「はやぶさ」。最適電力制御技術を活用した鉄道分野への応用研究が始まっている(池下章裕氏提供)【拡大】
このため停止中の列車を一斉に出発させると、変電所の容量を超えてしまう可能性がある。容量が超えてしまえば、列車の運行が困難になる。小さなアンペア数の家庭で、消費電力の大きな家電機器を複数で同時に使うとブレーカーが落ちるのと同じだ。
そこでJAXAは「線路上の列車が遅れを回復するため(それほどの電力を必要としない列車と)瞬時に電力を融通し合えば、課題の解決が図れるのではないか」(川口淳一郎シニアフェロー)と考えた。つまり、はやぶさを鉄道会社の路線全体、はやぶさに搭載されているエンジンやヒーター、制御機器を列車に見立てて考えたのだ。
2014年秋頃、川口氏はこのアイデアを鉄道総研や鉄道各社に伝えたところ、鉄道総研と東急電鉄が関心を示した。鉄道総研電力技術研究部の兎束(うづか)哲夫部長は「車両などの設備や運転技能に関するピークカット技術の知見はこれまでにも数多く出ている」と指摘した上で「電力の融通という切り口で、複数の機器を組み合わせた鉄道システム全体の省エネ技術が開発できればピークカット効果が期待できる」と話す。