10年ほど前までは、購入資金を提供する祖父母の意見が反映され、勇ましい人形やよろいを薦める光景がよく見られた。だが最近は、母親が主導権を握り、かわいらしい顔の人形を選ぶケースが増えているという。
こうした背景について、全国の人形販売店約370社でつくる「日本人形協会」(同区)の副会長、倉片順司さんは「家が狭くなって小型のものが好まれる傾向と、『大きくて勇ましい人形は、夜になると怖い』という母親の声が強くなっていることが要因」と分析。4年ほど前から勇ましい青年を模した人形が姿を消し始め、3、4頭身のかわいらしい人形が増えたとする。
今年は、一段とその傾向が強くなっているといい、倉片さんは「本来、五月人形は厄を肩代わりするような存在だが、わが子の顔と重ねて人形を選ぶ人が増えているようだ」と話している。
(中井なつみ)