最近、高輝度のレーザーをスペースデブリに照射するとプラズマが噴き出す現象を利用して、スペースデブリを脱軌道させて地球大気に再突入させる方法が提案され、有望な方法として検討が始まっている。スペースデブリ検出には口径2メートルほどの超広角望遠鏡を用い、軌道を粗く決めた後、その方向に探索レーザービームを照射し、軌道を正確に決定して、その方向に高輝度レーザーを照射する。レーザーによってスペースデブリ表面が高温化し、プラズマが噴出する。その反力でスペースデブリを減速させ、大気への再突入に導くというアイデアだ。
この実現のためには、多くの技術開発が必要である。超広角望遠鏡は、宇宙からやって来る超高エネルギー粒子の検出用に開発された技術を用いる。高輝度レーザーは多数のファイバーで同時に発振させ、そのビームを結合して用いる。100キロメートル先の1センチメートルのスペースデブリに対して安定してレーザービームを照射し続けるには、レーザー発振器および射出望遠鏡に高度な制御が必要である。さらには、近づいてくるスペースデブリを検出し、軌道変更まで最大10秒で終わらせる必要がある。