一方、不要物体といっても、それを打ち上げた国や組織が存在しており、その所有権は厳然と存在していることから、勝手に片づけることはできない。しかしながら、個々のスペースデブリがどの国に所属しており、所有者が誰かを特定することは、実際上不可能である。このことも、問題解決への動きの具体化を困難にしている。
さらに、高輝度レーザーを宇宙で運用すること自体、宇宙の平和利用の観点から、宇宙機関の間で強い躊躇(ちゅうちょ)があることも事実だ。したがって、国際的な合意の上で、公平な国際機関の管理の下で推進することが必要となる。いずれにしろ時間がかかりそうだ。
幾多の困難があるが、次世代に安全で平和な宇宙を残すためにわれわれの世代が立ち上がり、技術的な問題の解決へ向けて研究を本格化するとともに、具体的な対策のための国際的な議論を今始めなければならない。
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【プロフィル】戎崎俊一
えびすざき・としかず 独立行政法人理化学研究所戎崎計算宇宙物理研究室主任研究員 東大院天文学専門課程修了、理学博士。東大教養学部助教授などを経て、1995年より現職。専門は天体物理学、計算科学。