
花見客で混雑する「祇園白川」。外国人を中心とする観光客の急増に伴う安全面やマナー違反への懸念から、夜桜観賞の恒例行事「祇園白川さくらライトアップ」が今春、中止になった=京都市東山区【拡大】
警備に限界、苦渋の決断
警察には苦情が寄せられており、京都府警東山署によると、昨年のライトアップ期間中、「桜の木が折られている」との通報もあった。
実行委はこうした事態を受け、予期せぬ事故の恐れもある中で十分な対策を取ることが難しいと判断し、ライトアップを中止した。
祇園白川ライトアップ実行委員会で世話人を務める秋山敏郎さん(70)は「今のような状態であれば警備員を増やさなければ対応できないが、多額の費用が必要となる。もし事故が起きても実行委だけでは責任がとれない」と話す。
ライトアップの中止は、地域経済にマイナスとなりかねない。心配する声も多いのかと思いきや、そうでもないようだ。
巽橋付近の飲食店主(38)は「花見客は桜を見ていくだけで店に寄ってくれることはあまりない。一番困っているのは、水だけ飲みに来たり、トイレだけ使っていったりする外国人観光客がいること」と指摘。別の女性店員(42)は「マナー違反の観光客が目立つ。ライトアップ中止は仕方ないと思っている関係者は多いのでは」と打ち明ける。
昨年の紅葉シーズンに境内の絶景スポット「通天橋」「臥雲橋」での撮影を禁止した東福寺では、近年、撮影のために立ち止まる人が増え、行列が動かなくなることもあったといい、事故防止と混雑緩和のため撮影禁止に踏み切った。
観光地の風情や安全が失われ、それとともに鑑賞の機会も失われる。こんなことは今後も繰り返されるのだろうか。
秋本さんは「27年間続けてきたライトアップを中止したのは残念」としながらも、来年以降も開催しないかどうかは未定だとして、こう期待を寄せる。
「この中止をきっかけに、改めてライトアップが重要な行事であると認識され、みんなで安全やマナーについて考える機会になってほしい」