そこで、時間とコストを短縮するために「オープンイノベーション」の必要性が叫ばれている。オープンイノベーションとは社内の技術と社外の技術を融合させることだ。大企業が主導するオープンイノベーションに関する取り組みは多く、「ハッカソン」や「アクセラレータ」というキーワードでグーグル検索するとよく分かるはずだ。
ところが、このオープンイノベーションは、社内の技術を他社に開示する、他社の技術を利用するということであるから、必然的に特許など知的財産の問題が付随する。特許とは、他社に自社の技術が利用されることを排除する権利であるから、オープンイノベーションと矛盾することは想像に難くない。例えば、大企業とスタートアップ企業が組んでオープンイノベーションを実施したとする。このとき大企業に特許を取られてしまった場合、スタートアップ企業はどうなるのだろうか。
答えをいうと、特許を取られたスタートアップ企業はオープンイノベーションにより創生した技術、ビジネスを自社単独では実施できなくなる。これは、単にスタートアップ企業から大企業に対して技術流出が起きているだけで、日本の未来にとって良くないのは明白である。