【東電強制起訴初公判】「大津波、仕方なかったのか」検察官役の指定弁護士が冒頭陳述 (2/3ページ)

福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(代表撮影)
福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(代表撮影)【拡大】

  • 福島第1原発事故を巡る初公判が開かれた東京地裁の法廷=30日午前(代表撮影)
  • 福島第1原発事故を巡る初公判に臨む東京電力側の弁護士ら=30日午前10時、東京地裁(代表撮影)
  • 初公判で無罪を主張した(左から)勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告(イラストと構成・勝山展年)

 原発から約4.5キロ離れた双葉病院と隣接する老人施設の入院患者や入所者約440人が救助される過程で、44人が長時間の搬送や待機を余儀なくされ死亡した。神山弁護士が口調を変えたのは、この44人が死亡する経過を述べたときだった。

 「(患者らを搬送した)バスの中の状況は悲惨で、椅子に座ったままの状態で死亡している者や補助席に頭を乗せて死亡している者もいた」。神山弁護士はこう説明した上で、一呼吸置いて「本件事故がなければ、44人もの尊い命が奪われることはなかったのです」と口調を強めた。

 傍聴席に座っていた男性は険しい視線を3被告に向けていた。一方、勝俣被告らは終始、うつむいたまま。ただ、武藤栄被告(67)=元副社長=は手元の冒頭陳述要旨に、たびたびメモを取る姿が見られた。

 神山弁護士の冒頭陳述は被告人らの責任など核心部分に迫っていく。「被告人らが10メートルを超える津波襲来の可能性があることを予見し、あるいは予見しうる状況があったのであれば安全対策を取る義務があったことは明らか。ところが被告人らは『予見できなかった』と主張する。そこでいくつかの事実を積み重ねることで、遅くとも平成23年3月初旬には10メートル超の津波襲来を予見できたことを明らかにする」と宣言した。

 (1)地震調査研究推進本部の長期評価により、従来想定されたよりも大きな地震が三陸沖から房総半島沖にかけて起きる可能性があること(2)平成19年には新潟中越沖地震が発生し、勝俣被告を含めた3被告が出席するため、「御前会議」と社内で呼ばれる対応会議が設置されたこと(3)長期評価を受けて東電子会社の「東電設計」が計算した結果、15.7メートルの津波が襲来する可能性があること-などが順次、明らかにされた。

弁護士がポイントを置いた計算結果と「御前会議」