
福島第1原発事故を巡る初公判に臨む検察官役の指定弁護士ら=30日午前、東京地裁(代表撮影)【拡大】
神山弁護士がポイントを置いたのは、15.7メートルの計算結果に対して武藤被告が対策を取らなかったことと「御前会議」での報告だった。計算結果を聞いた上で武藤被告は「(長期評価ではなく)従来の評価に基づいてチェックを行うこと」などを部下に指示。一方、御前会議では東電職員から「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいて…」と報告があり、勝俣被告はこの発言を明確に聞いたという。
神山弁護士はまとめとして、「武藤被告は平成20年6月には東電設計の計算結果(15.7メートル)を把握していた」と主張。他の2被告についても「継続して原発の安全性に係る会社内外の情報を常に収集することによって、東電設計の計算結果の重大性は十分に認識できた」と述べた。
3被告をトップにした御前会議の組織図など大型モニターを使いながらも、神山弁護士は終始、目の前にいる3人の裁判官から目を話さずに約1時間35分かけて冒頭陳述を読み上げた。
「被告人らが費用と労力を惜しまず、課せられた義務と責任を適切に果たしていれば、本件のような深刻な事故は起きなかった」
神山弁護士は最後にこう断言し、指定弁護士側の席に戻ると一瞬、満足そうな笑顔を見せたが、すぐに口元を引き締めた。
予定では午後も続くはずだった指定弁護士側の冒頭陳述は午前中に終了し、午後1時15分から弁護側の冒頭陳述が始まる。