
東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長(右)=30日午前【拡大】
14年2月、原子力発電所の具体的な津波評価方法を定めたものとしては唯一の基準となる「津波評価技術」が土木学会から刊行されると、標準的な評価手順として定着。「法令にプラスした安全対策がとられていた」と続け、震災は、さらなる安全を積み重ねている中で起きたとした。
予見可能性のポイントとなる24年に政府の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」では、発生可能性のある津波地震について、マグニチュード(M)8.2前後、震源域の長さは約200キロ、震源域の幅は50キロとされている。
弁護側は法廷内の左右の壁に設置されたモニターを使って、東日本大震災がマグニチュード(M)9.1~9.4、震源域の長さは400キロを超え、震源域の幅も200キロだったことを比較して提示すると、傍聴席からはわずかにどよめきが起きた。
さらに福島第1原発は海抜約10メートルの高さに整備されているが、その10メートルを超える津波の予測についても、「長期評価では敷地南側からと予想されていたが、実際には東側全面から津波が遡上(そじょう)していた」と指摘。仮に防波堤設置などの措置をとるにも方角も異なり、「予測をはるかに超える規模の津波で、全く想定されていないものだった」と訴えた。