【東電強制起訴初公判】旧経営陣弁護側、真っ向反論で無罪主張「予測をはるかに超える津波」 (3/4ページ)

東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長(右)=30日午前
東京地裁に入る東京電力の勝俣恒久元会長(右)=30日午前【拡大】

  • 福島第1原発事故を巡る初公判のため東京地裁に入る東京電力の武黒一郎元副社長=30日午前
  • 福島第1原発事故を巡る初公判のため東京地裁に入る東京電力の武藤栄元副社長=30日午前

 3被告個人の責任について否定した弁護側。東電が従業員3万人を超えるマンモス企業であることを挙げ、勝俣被告においては入社以来原発関係の業務に携わったことがなかったことを説明すると、勝俣被告は視線を下に落とすようなしぐさを見せた。続けて弁護人が、専門性の高い分野だからこそ社長以下の判断を尊重していたとし、「監視義務はあったが、会長に業務執行権限はなかった」と強調すると、勝俣被告は再び前を見据えた。

 ここで弁護側の冒頭陳述は終了。永渕健一裁判長は続いて指定弁護士側の証拠調べに入ることを告げた。

 指定弁護士側は論文や有識者の意見、さまざまな調査結果などから、長期評価公表後に大規模地震が今後30年間で20パーセントの発生確率だったこと、福島第1原発は海水位上昇によって原子炉の冷却水ポンプが浸水する恐れがあったことなどを説明した。

 また、東電の会議メモなどで、海面から20メートルの高さの防潮堤を整備する必要性について議論した際に「(そこまで高い防潮堤は)対外的なインパクトが大きい。上層部の意見を聞く必要がある」との話になったことも明かした。

傍聴席からは厳しい目線