一方で、大会はボランティアに支えられている。炎天下の激務である審判ですら、交通費、宿泊費に加え、日当をうけるだけ。善意の奉仕が基本で、「審判委員」という名の指導的立場が与えられるに過ぎない。有給休暇を取って甲子園に駆けつける委員も少なくなく、人員確保に苦労する現実がある。
出場校への補助も、選手、監督、責任教師あわせて20人に交通費と1日3000円の滞在費が支出されるのみ。足りない分は出場校の自己負担である。勢い、出場が決まった各高校は同窓会などを通じた資金集めに奔走しなければならない。
NHKやテレビ朝日系の全国テレビ中継は高い視聴率を誇るが、高野連は一切、放送権料を受け取ってはいない。NHKは開局3年目の1927年からラジオによる全国中継を始めた。その際、人気向上と普及への対価とした取り決めが、今も生きる。関係者によれば、仮に放送権料を設定すれば、10億円はくだらないというのに。