
サッカーW杯アジア最終予選対オーストラリア戦で、ゴールを決める浅野拓磨=8月31日、埼玉スタジアム【拡大】
偶然の出会いを必然に変えたのは「理詰め」といわれる同社の社風だろうか。1993年のJリーグ開幕、2002年のW杯日韓大会開催、何より1994年イタリア大会最終予選の「ドーハの悲劇」から注目を集めるようになっていく日本代表戦…。社会に浸透するサッカー文化の醸成に意義を見いだしていったのではないか。
企業がひとつのスポーツを集中して支援し続けていくには覚悟がいる。時代や経済的な背景を乗り越えていかなければ、その思いは頓挫しかねない。
パートナーに格上げ
日本サッカー伸長の側には、いつもキリンがいた。こうした例には、ラグビー日本代表の大正製薬がある。昨今、障害者スポーツ支援に乗り出す企業がクローズアップされているが、ぜひ、キリンや大正製薬を範としてほしいと心底思う。
キリンは2015年4月、新たにJFAとの間で22年末までの7年9カ月に及ぶ公式パートナー契約を結んだ。それまでのスポンサーから、パートナーへの格上げ。年間25億円、総額200億円におよぶ大型契約で、関わりをさらに強めていく。
ロシアW杯が開かれる来年、関係は40周年を迎える。次世代への普及、浸透に、キリンがどんな手を打っていくのだろう。(産経新聞特別記者・佐野慎輔)