リニア入札不正 JR東海社員、非公開の工事費情報を大林組に漏洩か

大林組などのJVが工事を手がけるリニア中央新幹線「名城非常口」の工事現場=10日、名古屋市中区(大竹直樹撮影)
大林組などのJVが工事を手がけるリニア中央新幹線「名城非常口」の工事現場=10日、名古屋市中区(大竹直樹撮影)【拡大】

 リニア中央新幹線建設工事の入札不正事件で、名古屋市の非常口新設工事をめぐり、JR東海の担当社員がゼネコン大手の「大林組」(東京)に工事費の見積もりに関する非公開情報を漏洩(ろうえい)していた疑いがあることが12日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部はJR東海の担当社員から任意で事情聴取。大林組がこの情報を基に工事の受注を優位に進めた可能性があるとみて調べている。

 不正の疑いがあるのは、リニア開業後に地下トンネルから地上への避難経路となる「名城非常口」(名古屋市中区)新設工事。契約手続きは「公募競争見積方式」で行われ、見積価格や技術、工事実績などを総合的に評価する1次技術提案で順位を決め、高い順から価格協議をする2次技術提案を経て受注業者が決まる仕組みだった。

 関係者によると、JR東海の担当社員は、この工事の受注企業選定過程で、工事費に関する情報や公募参加企業などの情報を漏洩した疑いがあるという。大林組は担当社員から得た非公開情報を基に見積もり価格を算定したとみられる。

 当初は7社程度が入札に参加したが、大林組は工事の受注を希望した他社に受注を見送るよう要請。一部の社が高い見積価格を提示することで大林組の要請に応じたとみられている。

 ゼネコン大手「鹿島建設」(東京)は最後まで大林組と受注を競ったが、鹿島が約100億円を提示したのに対し、大林組が約90億円を提示したため選ばれなかった。特捜部の事情聴取に、大林組側は不正な働きかけを否定したという。

 特捜部は、JR東海の担当社員から関係資料の任意提出を受け、不正の実態解明を進める。

 情報漏洩の疑いについてJR東海は「捜査に関わることなので、現時点ではお答えすることができない」。大林組の白石達(とおる)社長(70)は産経新聞などの取材に「知らない」と話し、事前の受注調整については「していない」と否定した。