【論風】南海トラフ地震の新情報 “予知困難”で運用が難解に (2/3ページ)

 上記(1)と(2)の場合は、M7以上の地震や異常現象観測から概ね30分後程度に『臨時情報第一号』を発表。内容は(1)巨大地震との関連性の調査を開始したこと、(2)評価検討会を開催したこと。そして第一号情報から最短で2時間後をめどに『臨時情報第二報』を発表。内容は(1)巨大地震の可能性が高まったこと、(2)調査を継続中であること。これ以降は『続報』を発表していき、最悪の事態は南海トラフ地震が発生することになる。前述のひずみ計での有意な変化では、1カ所以上のひずみ計に有意な変化があった場合、『臨時情報第一報』が、さらにプレート境界で大きな滑りを推定した場合に『臨時情報第二報』を発表する。

 3つの問題点

 多くの読者には分かりづらいかもしれない。「地震予知」とは、(1)いつ(2)どこで(3)どれくらい-の規模の地震が起きるかという3要素が必要。以前は(1)2~3日以内に(2)東海地震想定震源域で(3)M8前後の地震が発生する-ことが前提になっていたが、今回は南海トラフ地震想定震源域が東海・南海・東南海・日向灘地震に広がったため、この3要素を前提にできなくなった。

 主な問題点を挙げてみる。1点目は、この情報が発表されたあとで住民や自治体・企業などはどう対応すればいいのか。この点はこれからモデル地区を選定してガイドラインなどが検討されることになっているが、今回見直した情報は不確実な面が多いので、突発で起きることを大前提に防災対策を実施する必要がある。

2点目はメディアの伝え方