世界最大の次世代装置で宇宙誕生の謎、物質の起源に迫る ハイパーカミオカンデ計画 (3/4ページ)

ハイパーカミオカンデ
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 計画では茨城県東海村の実験施設「J-PARC」で生成したニュートリノを、西へ295キロ離れたハイパーカミオカンデに向けて発射。地中を貫通し、光速で水槽に突入したニュートリノによって生じるチェレンコフ光をとらえる。

 1日に観測できるニュートリノは、スーパーカミオカンデと比べ10倍の約300個に増える。同研究所の塩沢真人教授(素粒子物理学)は「観測量が桁違いなので、実験開始から数年で結論が出るかもしれない。この成果を踏まえ、さらに次の研究テーマが見えてくるのではないか」と意気込む。

 ◆陽子崩壊の初観測狙う

 ハイパーカミオカンデが狙うより大きな成果は、世界初となる「陽子崩壊」の観測だ。

 陽子は中性子や電子とともに原子を構成する要素の一つで、クォーク3個でできている。現在の素粒子物理学の基本法則を超える「大統一理論」では、陽子はごくまれに崩壊し、別の素粒子に生まれ変わると予測されている。観測できればノーベル賞級の成果だ。